『彼女がその名を知らない鳥たち』【感想・レビュー】

2017年11月26日日曜日

review

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(c)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

スタッフ staff

監督:白石和彌
原作:沼田まほかる
脚本:浅野妙子

出演 Cast

蒼井優:北原十和子
阿部サダヲ:佐野陣冶
松坂桃李:水島真
村川絵梨:國枝カヨ
竹野内豊:黒崎俊一

あらすじ

15歳年上の男・陣治と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎のことが忘れられずにいる女・十和子。不潔で下品な陣治に嫌悪感を抱きながらも、彼の少ない稼ぎに頼って働きもせずに怠惰な毎日を過ごしていた。ある日、十和子が出会ったのは、どこか黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島。彼との情事に溺れる十和子は、刑事から黒崎が行方不明だと告げられる。どれほど罵倒されても「十和子のためだったら何でもできる」と言い続ける陣治が執拗に自分を付け回していることを知った彼女は、黒崎の失踪に陣治が関わっていると疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯えはじめる――。(公式HPより)

実在の人物が存在しているような

まず、蒼井、阿部、松坂、竹野内の4人演技が圧倒的。蒼井の演じるだらしない女、阿部の演じる十和子ひとすじの行き過ぎた男、松坂が演じる汚れ役女をもてあそぶ女、竹野内の演じる自分勝手に女を使う女。主人公である蒼井、阿部は、その自分として、画面の中に立っている。さらに、松坂は、人気俳優がこの役を演じるのかというぐらい嫌悪感を振りまく悪役を熱演。俳優陣の演技を感じるだけで、この映画を観る価値がある。

善悪清濁が混合する中で

人を愛するということを観客に突きつける言葉と展開。ラストシーンは、特に素晴らしい。阿部の気持ちが十和子に通じるのか、人は愛のためにあそこまでできるのか。阿部が演じる陣冶が、ラストに近づくにつれ、光を放つ。

作品全体として

沼田まほかる原作を、俳優陣が見事に演じきった名作。また、その映像を生み出した白石監督の手腕は高く評価されるべき。
現代の乾いた人間関係の中に、この作品の色、質感が伝わるだろうか。

『彼女がその名を知らない鳥たち』公式サイト
http://kanotori.com/

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