『スターシップ9』Orbiter9【感想・レビュー】

2017年11月1日水曜日

review

t f B! P L

(C)2016 Mono Films, S.L. / Cactus Flower, S.L. / Movistar + / Orbita 9 Films, A.I.E

スタッフ staff

監督:アテム・クライチェ

出演 Cast

クララ・ラゴ:ヘレナ
アレックス・ゴンザレス:アレックス
ベレン・ルエダ:シルビア
アンドレス・パラ:ヒューゴ

あらすじ

エレナはまだ見ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。一緒に飛び立った両親は既にいない。近未来、過度の公害に汚染された地球には未来はなく、人類は新しい星への移住を必要としていた。ある日、スペースシップの給気系統が故障し、エレナは近隣のスペースシップに救援信号を送る。その呼びかけに応えて姿を現したのが、エンジニアの青年アレックスだった。一目見て、互いに恋に陥る二人。しかし、エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。それは、人類の未来を賭けた高度な実験だった。二人はなぜ出会ったのか―?!(公式HPより)

SF映画は効果だけではない

CG技術が進化し、『アバター』のようにVFXの技術を最大限に活用した作品がSF作品として注目されますが、そればかりがSF作品ではない。SFというジャンルの小説を読んでも、地球外には飛び出さない、宇宙船も出ない作品は星の数ほどあり、とするならば、映画作品においても、VFX技術をそれほど使わなくとも、表現される素晴らしいSF作品は多数存在する。

恒星間移住の夢

地球上の人口の増加が止まらず、比例するように地球環境の悪化が進んでいく中、地球の再生ではなく、新天地を目指す思想は一つの選択肢であり、語りつくされた感もあるが共通のテーマでもある。本作品は、SF的には古典的な設定ではあるが、普遍的な設定であるこのテーマを土台とした、SF恋愛短編である。

SF作品の評価

VRやVFXの技術革新は目覚ましいが、前述したような設定や物語で工夫されたSF作品への配給会社の評価が低いのは、人の想像力を評価しないことを意味しているようで、悲しい限りである。近年公開の本作品以外でも『黒い箱のアリス』などはとても素晴らしい作品だったが、全国配給とまでは到達しなかった。逆に、これらの作品に出会うことができた観客は幸運かもしれない。

作品全体として

短編SF小説の中に入り込んだような小気味いい作品。エレナの心の変化をもう少し丁寧に描くと、作品として、さらに緻密さが増した印象。これらのSF小品を定期的に送り出して欲しい。オススメ作品。

『スターシップ9』公式サイト
http://starship9.jp/
『スターシップ9』Orbiter9(IMDB)
https://www.imdb.com/title/tt3469798/

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