『サニー/32』【感想・レビュー】

2018年2月17日土曜日

日本映画

t f B! P L

『サニー/32』

(C)2018「サニー/32」製作委員会

スタッフ

監督:白石和彌
脚本:高橋泉

キャスト

北原里英:藤井赤理
ピエール瀧:柏原勲
リリー・フランキー:小田武
門脇麦:ネット上に現れた2人目のサニー

あらすじ

冬の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原と小田という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁!小田は嬉々としてビデオカメラを回し、柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。
“サニー”とは―世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称だった。事件のあらましは、当時11歳だった小学生女児が同級生を、殺害したというもの。突然、工作用のカッターナイフで首を切りつけたのだ。事件発覚後、マスコミが使用した被害者のクラス写真から、加害者の女児の顔も割りだされ、いたいけで目を引くルックスゆえに「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とたちまちネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。出回った写真では、独特の決めポーズ(右手が3本指、左手は2本指でピースサインをつくる)も話題を集め、それは信者たちの間で「32(サニー)ポーズ」と名付けられ、加害女児自体も“サニー”と呼ばれるようになった。
奇しくも、この“サニー”の起こした事件から14年目の夜に二人の男によって拉致監禁された赤理。柏原も小田もカルトな信者で、二人は好みのドレスに着替えさせ、赤理の写真や動画をネット上の「サニーたんを愛する専門板www」にアップ。赤理は正気を失っていきながらも、必死に陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みる。が!それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった―。(公式HPより)

アイドルと偶像

ヒロインを演じる北原里英は、NGT48(元AKB48、元SKE48)の現役トップアイドルだが、本作品では、偶像を演じている。本格的に女優を目指すために、運よくというか、秋元康の力により、白石監督作品主演を勝ち取っているが、その背景を考慮しなくても、新境地へ辿り着くために挑戦している姿がみえた。

予想外の展開と白石ワールド

予告編から想像した作品とかなり異なる展開で、さすがの白石監督である。ヒロインである中学生教師藤井と教え子とが抱える闇をベースにしながら、偶像を求めるオーディエンスの身勝手さや拡散性など現代社会を投影しながら、社会の異常性を映し出している。

カオスといえば、そのとおりですが

殺人者が偶像とされているのだが、本編中で「殺人」が頻繁に行われる違和感や、ヒロイン周辺の人物像が掘り下げられず放置されっぱなしでかつ、混沌としているのは、ストーリーを追いかける意味では、居心地が悪い。中盤からヒロインが一見「救い」へ進んでいるようでいて、「殺人」は加速しているあたりの落差が狙いか。

作品全体として

アイドル北原里英というより、白石監督の混沌映画という印象の作品。北原の体当たり演技は好感だが、作品がカオスすぎるし、個ではなく群像感も強いので、演技の評価は次回作に期待か。ホラーでも、サスペンスでもない、白石カオス映画。もう少し「怖さ」を演出すると、わかりやすさが出ると思うが、それは白石作品ではない気もする。

『サニー/32』公式サイト
http://movie-32.jp/

サイト運営

自分の写真
映画情報「Life with movies」編集部公式サイト。最新映画や映画祭、舞台挨拶のほか、編集部による過去映画トピックスをお届けします。 twitterアカウント:@with_movies

QooQ