『血観音』The Bold, the Corrupt and the Beautiful【感想・レビュー】

2018年3月18日日曜日

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『血観音』The Bold, the Corrupt and the Beautiful【感想・レビュー】


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スタッフ

監督・脚本:ヤン・ヤーチェ(楊雅喆)YANG Ya-Che

キャスト

カラ・ワイ(惠英紅)Kara Hui:Madame Tang
ウー・クーシー Ke-Xi Wu:Tang Ning
ヴィッキー・チェン(文淇)Vicky Chen:Tang Chen

あらすじ

冷静沈着な当主・棠夫人、自由奔放で反抗的な娘・棠寧、控え目で従順な孫娘・棠真。日本統治時代の名残りをとどめる豪邸で、女性一家3人で古物商を営む“棠家”には「台湾政財界のフィクサー」というもうひとつの顔があった。あまりにも強い棠夫人の支配下で、微妙なパワーバランスを保っていた棠家であったが、友人の林県長一家惨殺事件発生をきっかけに、そのバランスが崩れ始め、事態は政界を揺るがす大スキャンダルへと発展していく…。(大阪アジアン映画祭公式HPより)

第54回金馬奨(2017)最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞

大阪アジアン映画祭上映後舞台挨拶から

ヤン監督は、タイトルについての質問に「観音の前に「血」をつけるだけで、恐ろしい名前になる」と話し、また、ポスターと作中に登場する絵については「台湾の著名な女性画家の作品で、彼女自身にも物語がある。中央の赤は、日本でいう彼岸花。無表情に描かれた3人の女性だが、3人にそれぞれ物語・愛の形があり、それが1つの物語に融合している。世の中に救いがなければ、地獄のようになってしまう。夫人が最後に死にたくても死ねないというのは、救われなかったことを意味している」と語った。また作品中の日本語での「私はさびしい」というセリフの意味を聞かれ、「セリフは工夫した。日本語を学ぶのは、上流階級の証でもある」と話した。さらに、女性3人3世代を描こうと考えた着想は、と問われ、「元々の脚本は、探偵ものだったが女性プロデューサーからOKが出なかった。逆に女性を描いてほしいと依頼された。脚本を書く際には、図書館で書いていたが、少し正装をすることで、女性がヒールやドレスを着る気持ちを意識した」と脚本の秘話を語った。

文淇(Vicky Chen)という恐ろしい才能

主人公の3人の女性を演じるカラ・ワイ、ウー・クーシー、ヴィッキー・チェンは、いずれも本作での演技は素晴らしく、金馬奨では、最優秀主演女優賞、最優秀助演女優賞を獲得しているが、中でもヴィッキー・チェンが大注目。若干14歳でこの演技力は末恐ろしい女優で、今後はアジアだけでなく、世界を席巻する可能性を秘めた新星の登場である。この作品で金馬奨の最優秀助演女優賞を獲得しているだけでなく、主演作『天使は白をまとう』では、主演女優賞にもノミネートされている。今後の出演作品は、要注目である。

緊張感がたまらない

前半から登場人物の放つ演技というかプレッシャーが強烈で、目を離すことができない。それは、ベテラン俳優だけでなく、新人の文淇を含め、その表情、しぐさ、セリフのどれを取っても、意味ありげで、展開が予想できない。

作品全体として

凄みのある名作。日本のやくざ映画とは違う、それでいて同じぐらい闇を感じる世界観に圧倒される。作品の素晴らしさという意味でも、俳優陣の演技の良さという意味でも、観ておくべき作品。日本での本格公開が期待される。

大阪アジアン映画祭 公式サイト内『血観音』ページ
http://www.oaff.jp/2018/ja/program/c02.html
『血観音』IMDB
https://www.imdb.com/title/tt7479784/

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