『29歳問題』29+1【感想・レビュー】
第37回 香港電影金像獎 新人監督賞
第12回 大阪アジアン映画祭 観客賞
スタッフ
監督・脚本:キーレン・パン Kearen Pang 彭秀慧キャスト
クリッシー・チャウ Chrissie Chau:クリスティ=ラム・ヨックワンジョイス・チェン Joyce Cheng:ウォン・ティンロ
ベビージョン・チョイ Babyjohn Choi:チョン・ホンミン
あらすじ
2005年、香港。30歳を目前に控えたクリスティ。勤め先の化粧品会社では働きぶりが評価されて昇進、長年付き合っている彼氏もいて、周囲も羨むほど充実した日々を送っている。が、実のところ、仕事のプレッシャーはキツいし、彼氏とはすれ違いがち、実家の父親に認知症の症状が出始めたのも気がかりだ。そんなある日、住み慣れたアパートの部屋が家主によって売却され、退去を言い渡されてしまう。
とりあえず見つけた部屋は、住人がパリ旅行に行っている間だけの仮住まい。エッフェル塔をかたどった壁一面のポラロイド写真や、女の子らしい小物でいっぱいのその部屋で、クリスティはそこに住んでいるティンロという女性の日記を見つける。偶然にも誕生日が同じだと分かって、部屋の主に俄然興味を持ち始めたクリスティは、そこに書かれているティンロのささやかな日常に知らず知らずのうち惹かれていく…(公式HPより)
舞台から映画へ
この作品は、香港で最も有名な舞台女優であるキーレン・パンが、自身が上演していた芝居を映画化したものである。日本でも舞台を映画化した作品が上映されていたが、最近はほとんど観られなくなってしまった。舞台を映画化すると、制作費が上がることで、作品を華美な作りにしてしまい、原作の持っていた雰囲気を壊してしまうことが往々にしてあるが、この作品はそんなことはなく、作品の心が観客に伝わる素晴らしい作品になっている。これは、舞台で演じていたキーレン・パン自らが監督していることによることが大きいと感じる。将来への希望
ヒロインのクリスティが29歳の転機を迎える中で、同世代のティンロの心に触れることで、自身の将来への希望を見出す姿を描いているが、女性の共感を得ることはもちろんだが、人生の節目等で考えさせられる普遍的な部分でもあり、多くの共感を集める結果となっている。作品全体として
コメディタッチな前半で、観客との距離を近いものとして、クライマックスへ繋げていく展開は、共感を呼びやすく、素晴らしい創りになっている。主人公と同世代の女性は、特に感じるものがあるのではないでしょうか。アクションでも、ノワールでもないこの作品は、現代の香港で多くの支持を集めたように、日本でも支持が得られるだろう。おススメ。『29歳問題』公式サイト
http://29saimondai.com/
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