『ビューティフル・デイ』You Were Never Really Here【感想・レビュー】

2018年6月1日金曜日

外国語映画

『ビューティフル・デイ』You Were Never Really Here【感想・レビュー】

(C)Why Not Productions, Channel Four Television Corporation,and The British Film Institute 2017. All Rights Reserved. (C) Alison Cohen Rosa / Why Not Productions

第70回 カンヌ国際映画祭 男優賞・脚本賞

スタッフ

監督:リン・ラムジー

キャスト

ホアキン・フェニックス:ジョー
ジュディス・ロバーツ:ジョーの母
エカテリーナ・サムソノフ:ニーナ・ヴォット
ジョン・ドーマン:ジョン・マクリアリー
アレックス・マネット:アルバート・ヴォット上州議員

あらすじ

元軍人のジョーは行方不明の捜索を請け負うスペシャリスト。ある時、彼の元に舞い込んできた依頼はいつもと何かが違っていた。依頼主は州上院議員。愛用のハンマーを使い、ある組織に囚われた議員の娘・ニーナを救い出すが、彼女はあらゆる感情が欠落しているかのように無反応なままだ。そして二人はニュースで、依頼主である父親が飛び降り自殺したことを知る―(公式HPより)

日本語タイトルはいらない。

この作品のテーマを考えるとタイトルは『You Were Never Really Here』であり、この日本語タイトルは、作品タイトルとしては、ふさわしくない。なぜ、このタイトルにしたのだろう。

『レオン』ではない。

作品の建付けから『レオン』を比較対象とする感想・批評もあるが、伝わってくるのはそこではない気がする。一見すると、普通の探し屋にみえる主人公は、すでに心が砕けてしまっている。殺人への抵抗感や母親との関係の中にある、ただ「作業」としてこなすような行動に、心が宿っていないことが伝わり、最後に助けた娘とレストランに入るシーンでその事実が明確となる。この見えにくい心を表現したリム・ラムジーとホアキン・フェニックスは、カンヌの脚本賞であり、男優賞であることに納得。

殺人が恐怖の対象ではない

この作品の中で、殺人行為が行われるが、観客に恐怖感を与えるような殺人シーンは、ほとんど採用されていない。それは、殺人の恐怖を観客に伝えることが目的ではなく、主人公の心が砕けた結果、人の命を奪うという行為への良心の呵責の喪失を表現することが目的だからだろう。

作品全体として

素晴らしい作品であるが、心に嫌な闇が残ってしまう作品。明るい気分になりたい時には観てはいけないが、質の低い他の作品を観たあと、緻密な作品を観たい時には必要な作品。ホアキン・フェニックスは、次は何を演じるのだろう。おススメ作品。

『ビューティフル・デイ』公式サイト
http://beautifulday-movie.com/

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