『2重螺旋の恋人』【感想・レビュー】R18+
第70回 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門出品
スタッフ
監督・脚本:フランソワ・オゾン原作:ジョイス・キャロル・オーツ
キャスト
マリーヌ・バクト:クロエジェレミー・レニエ:ポール/ルイ
ジャクリーン・ビセット:クロエの母
ファニー・セイジ:サンドラ
ミリアム・ボワイエ:ローズ
あらすじ
主人公のクロエは原因不明の腹痛に悩む25歳の女性。精神分析のカウンセリングを受けることで痛みから解放された彼女は、分析医のポールと恋に落ち、同居を始める。そんなある日、クロエは街でポールそっくりの男を見かける。彼はポールの双子の兄で精神分析医のルイだった。なぜポールはルイの存在を隠していたのか? 疑惑にかられ、偽名を使ってルイのクリニックに通い始めたクロエは、優しいポールとは反対に傲慢で挑発的なルイに惹きつけられていく……。(公式HPより)
人の持つ2面性がテーマ
ポールとルイという性格の異なる2人の男性に惹かれるヒロインを描きつつ、主人公のヒロエの内面の多面性を描いている。二人が自分の観る幻影なのかを悩む主人公、ポールに多面性が顕現しているのかという疑問。知性と攻撃性。オゾンの描こうとしたものは何か、謎の原点がわからないまま、物語が鏡の世界を進んでいくような独特の演出。サスペンス映画としてだけでなく
配給会社は、心理サスペンスと打ち出しているが、この作品はSFでもある。双子の謎、主人公の多面性、そして、ラストに用意したオゾンの罠。ただ、強くSFと打ち出してしまうと、罠に気づいてしまう観客が出るかもしれない。ゆえに、サスペンスであり、SFであるという多面性も、この作品には隠されている。第70回カンヌ国際映画祭は豊作か
この作品もカンヌ国際映画祭コンペティション作品ですが、第70回のコンペ作品は、それ以前と異なり、8割近い作品が日本公開された。これは、カンヌ国際映画祭の選考傾向が変化しているのか、それとも、この作品も配給しているキノフィルムズが精力的に映画祭作品を手掛けている功績か。いずれにしても、多くの作品を日本国内で観る機会が得られるのは、日本国内の映画ファンにとっては、僥倖である。作品全体として
オゾンが人の内面・深層世界を描いた作品ですが、官能シーンの刺激的な映像で押さえる印象が強く、もう少し映像美で観客の思考する余白のような時間を作っても良かったかもしれない。謎に浸る時間が足りない印象が残ってしまった。『2重螺旋の恋人』公式サイト
https://nijurasen-koibito.com/
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