『タリーと私の秘密の時間』Tully【感想・レビュー】

2018年8月18日土曜日

外国語映画

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『タリーと私の秘密の時間』Tully【感想・レビュー】

(C)2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

スタッフ

監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コーディ

キャスト

シャーリーズ・セロン:マーロ
マッケンジー・デイビス:タリー
マーク・デュプラス:クレイグ
ロン・リビングストン:ドリュー
アッシャー・マイルズ・フォーリカ:ジョナ
リア・フランクランド:サラ

あらすじ

もうすぐ3人目の子供が生まれるマーロは、大忙しの毎日を送っている。娘のサラは手がかからないが、息子のジョナは情緒が不安定だ。今日も姉弟が通う小学校の校長に呼び出され、ジョナをサポートする専属教師を自分で雇ってほしいと言われてしまう。夫のドリューは優しいが、家事も育児も妻に任せっきりで、マーロもそれが当たり前だと思っていた。ある日、事業で成功して贅沢な暮らしを送るマーロの兄のクレイグが、出産祝いに夜専門のベビーシッターを手配してくれると言う。見知らぬ人に赤ん坊を預けることに抵抗と罪悪感のあるマーロは断るが、クレイグは妹に強引にシッターの電話番号を渡すのだった。無事に女の子を出産したマーロだが、家事は膨大に増えていた。さらに、再び校長に呼び出され、ジョナには違う学校へ行ってもらうと言われ、遂に感情が爆発し、校長を怒鳴りつけてしまう。帰宅したマーロは、もはや限界と夜間のベビーシッターを頼む。22時半に現れたタリーと名乗る若い女性を見て、唖然とするマーロ。おへその見えるTシャツにジーンズのファッション、いきなりタメグチのイマドキの女の子だったのだ。だが、戸惑うマーロにタリーは、「私を頼って」と自信たっぷりに宣言し、2階でゆっくり眠るようにと促すのだった。翌朝、目覚めると、タリーの姿はすでになく、代わりに8年間全く掃除していなかった1階のリビングとキッチンが、ピカピカになっていた。マーロは夫に、「彼女は何もかも完璧。なんだか、世界が明るくなった」と、久しぶりに晴れ晴れとした顔で微笑むのだった。
それからというもの、タリーは“完璧”を更新し続ける。さらに、「人生の全部をケアしなきゃ」と、昔話や愚痴を聞いてくれ、悩みごとの相談にまで乗ってくれ、いつしか二人は友情を結んでゆく。だが、タリーは何があっても夜明け前に姿を消し、昼間は何をしているかなど、自分のことは一切語らないのだった――。(公式HPより)

女優:シャーリーズ・セロン

この作品への撮影に、18kg増量して挑んだというシャーリーズ・セロン。妊娠・出産シーンなどは特殊メイクによるものだろうが、それにしても、どこまでがリアルなのか、女優道もここまで到達すると、心配になるレベルである。実際に増量していることもあり、その動きは、作り物ではない気だるさや重さが伝わってくる。

タリーの存在

この物語をけん引する鍵は、タリーという存在である。彼女は誰なのか、なぜ、マーロにとって完璧なナイトシッターなのか。完璧な母親であろうとしたマーロが、挫折のあとに出会うタリー。拒絶反応を起こしてもおかしくない状況で、マーロにとって、自然と受け入れられるタリーは、誰なのか。わかりやすい「鍵」として、タリーが存在することで、観客を物語へ引き込んでいく構成は、素晴らしい。

誰にむけての物語なのか

妊娠、出産、子育てという男性の共感を得るのが難しい題材で、多くの女性の共感を集めるであろう物語であるが、最後まで見終えた時、特に最終盤の展開は男性の心にも響く展開を押さえているところが、この脚本の良さである。

近代映画の難しさ

この作品に影響を与えたであろう同じ仕掛けの作品が、過去の作品にもあるが、近年、映像技術の革新により、新しい「画」、革新的な「画」は製作されているが、構成は必ずしも技術で進歩するものではないので、これだけ大量に映像作品が生み出される中で、完全にオリジナルなものを生み出すことは不可能といっていいだろう。また、観客すべてが過去作のすべてを観ているわけもない中で、どのような物語、構成を選択するのか、というのは、映画製作サイドとしても難しいのではないか、と考えされる作品でもあった。この作品を観て、過去に観たような、と思う方は、批判するのではなく、類似する構成を撮りながら、この作品ではどのような展開に持っていっているのか、と見比べて、楽しんでみるのも、シネフィルならではの楽しみではないだろうか。

作品全体として

あれだけの美貌を持ちながら、『モンスター』で衝撃的な役づくりをしたシャーリーズ・セロンが、再び、18kgの増量し、体形を崩してまで挑む姿が、彼女の女優魂の凄まじさを感じずにはいられない作品。そして、その彼女を受けてとめるマッケンジー・デイビスの演技も、この物語を引き立てている。オススメ作品。

『タリーと私の秘密の時間』公式サイト
http://tully.jp/

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