『チワワちゃん』【感想・レビュー】

2019年1月19日土曜日

日本映画

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『チワワちゃん』【感想・レビュー】
(C)2019『チワワちゃん』製作委員会

スタッフ

監督・脚本:二宮健

キャスト

門脇麦:ミキ
成田凌:ヨシダ
寛一郎:カツオ
玉城ティナ:ユミ
吉田志織:チワワ
村上虹郎:ナガイ
栗山千明:ユーコ
浅野忠信:サカタ

あらすじ

その日、東京湾バラバラ殺人事件の被害者の身元が判明した。千脇良子・20歳・看護学校生。ミキはそれが、自分の知っている“チワワちゃん”のことだとは思わなかった。ミキがいつものミュージックバーで、仲間のヨシダ、カツオ、ナガイ、ユミらと飲んでいる時、ヨシダの新しいカノジョとして“チワワ”が現れた。以前、ヨシダのことが好きだったミキは、フクザツな気持ちで二人を見ていた。その時、バーテンダーのシマから、VIP席にいる男たちのバッグの中に、政治家に届ける600万円が入っていると教えられる。皆がザワつくなか、意を決したチワワが、あっという間にバッグを奪って、走り出した!
翌朝、昨夜の男たちが贈賄罪の疑いで逮捕されたとニュースで報じられていた。宙に浮いた大金をめでたく頂いて、バカンスに繰り出すミキたち。毎晩が豪華なパーティと、最高のお祭り騒ぎ。だが、600万円をたった3日で使い切り、皆は日常に戻っていった。 そんななか、チワワだけが“パーティ”を続けていた。インスタがきっかけとなり人気モデルとなったチワワは、サカタという有名カメラマンと付き合い始めていた。やがてチワワとミキたちは住む世界も違い始めていった。
チワワを偲ぶために、仲間たちが久しぶりに集まったが、誰も最近のチワワを知らなかった。そんな中、ファッション雑誌のライターのユーコから、チワワの追悼記事の取材を受けるミキ。もっと話を聞かせてほしいと頼まれたミキは、仲間たちにあらためてチワワとの思い出を聞きに行く。しかし、ミキを待ち受けていたのは、それぞれの記憶の中の全く違うチワワだった──。(公式HPより)

意味不明な時代

振り返ってみると、自分は何がしたかったのか、何になりたかったのか。誰しも、10代後半から20代前半の、ただ勢いと根拠のない自信に突き動かされるような体験や想いを記憶しているのではないだろうか。そんな誰しもある時代を映像化しようとするとこうなると、監督が叫んでいるような作品となっている。ただ、理由のないものを説明すること、映像化することは難しく、果たしてこれが、どのように伝播するのだろう。

生っぽさを演じる

門脇麦、成田凌が共演して若者の時代性のようなものを演じるのは『ここは退屈迎えに来て』から続いているが、この二人の演じる人物は、妙な生っぽさがあり、リアルさに引き込まれてしまう。設定だけを考えると、突飛な部分もあるのだが、この二人が演じると、そんな人物もいても不思議ではないと感じてしまう。それが少し異端な人物だったとしても、だ。それだけ、彼らの演技が素晴らしく、このあと、どのような作品に参加するのか、興味と期待を感じずにはいられない。

群像劇の難しさ

この作品、とても印象的な映像作品にはなっているのだが、心を動かされたかと言われると首をかしげてしまう。それは、それぞれのポジションからみていた「チワワちゃん」というヒロインが語られたとしても、時間の制約のある映画の中で群像を織りなすそれぞれの人物の背景まで描ききることは難しく、結果、誰にも感情移入することもなく、疾走感だけが通り抜けていく結果になってしまっているからだ。それは、作品の性質上、やむをえないのかもしれないが、ミキによりフォーカスをあてることで、観客の心を近づける感情移入先を用意できたのではないだろうか。観客をパーティの参加者ではなく、傍観者として置き去りにしているようにみえてしまったのが、少し残念。

作品全体として

おそらく今後の日本映画界の注目を集めるであろう新鋭の俳優が集まったキャスト陣が、演技をぶつけ合う様を観ることができる作品。ただ、最初から疾走した物語が、最後まで同じ勢いで進んでしまい、映画の見せ方としては、もう少し工夫して欲しかった。監督も新鋭なので、若さが映像に出ているな、と感じてしまう作品。

『チワワちゃん』公式サイト
https://chiwawa-movie.jp/

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