『あの日々の話』【感想・レビュー】

2019年5月11日土曜日

日本映画

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『あの日々の話』【感想・レビュー】

(C) 2018『あの日々の話』製作委員会

スタッフ

原作・監督・脚本:玉田真也

キャスト Cast

山科圭太
近藤強
木下崇祥
野田慈伸
前原瑞樹
森岡望
高田郁恵
菊池真琴
長井短
太賀
村上虹郎

あらすじ

とある大学サークルの代表選挙が行われた夜。新代表が姿を消す中、元代表OBや現役生ら男女9人が残り、二次会のカラオケボックスで盛り上がっていた。女子が席を外すと、男たちは「今日ヤレるかも」とバカ騒ぎ。たまたま女子学生のカバンの中からコンドームが見つかったことで一気にテンションは上がり、暴走していく。一方、女子たちの部屋では、1年生がOGに呼び出され、不穏な空気に包まれ始めていた。華やかな大学デビューを果たしたはずの若者たちの裏切りと騙し合い、そしてその果てに残ったものとは--。(公式HPより)

密室型群像劇

近年、商業公開される日本映画で、この作品のようなワンシチュエーションで描く群像劇、それもコメディ作品が少なく、新鮮さとタイミングの良さを感じる。記憶の範囲で密室群像劇を描いた秀作としては、佐藤祐市監督の『キサラギ』(2007年)が思い出されるぐらいである。

舞台から映画化

三谷幸喜監督が注目を集めた頃、舞台原作が多く映画化されたが、映画=スケールみたいなことを製作サイドが考えたのか、華美で蛇足な演出が付加されてしまい、舞台の時の小気味いい印象が損なわれるケースが多かったが、(製作費などの条件があったこともあると思うが)この作品は舞台の持つ空間における完成度がそのまま映像化されていて、小気味いい。さらに、会話劇が中心となるが、舞台出演時のキャストがほぼそのままの役どころを演じていることで、笑いの起きる「間」を体感していて、そのテンポが絶妙。舞台原作の強みが生きている。

体験するシチュエーションの共感度

舞台は、カラオケ、大学のサークルという設定は、多くの方が若い頃体験していたり、想像しやすく、入りやすい。SFやファンタジーは、作品と観客との間の「約束事」を理解するまでに時間がかかることが多く、そこに失敗すると物語に入れこめないこともしばしばだが、この作品では「あ、こんなこともあったな」という感覚になれるので、共感するハードルが低い。

作品全体として

日本映画において、良いコメディ映画がなかなか登場しない中、この作品のような作品は貴重。2018年公開された『カメラを止めるな』に続いて、単館系からコメディ作品が誕生する流れは、このあとの映画界のフォーマットになるか。若い頃に抱いていた恥ずかしく、ゲスい心の内面を懐かしく、大爆笑できる、そんな作品。おススメ作品。

『あの日々の話』公式サイト
https://anohibi.com/

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