『幼い依頼人』My First Client【感想・レビュー】

2020年3月28日土曜日

review

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スタッフ staff

監督:チャン・ギュソン Kyu-sung Jang

出演 Cast

イ・ドンフィ Dong-hwi Lee:ジョンヨプ Jeong Yeob
ユソン Seon Yu:ジスク Ji Sook
チェ・ミョンビン Myung-Bin Choi:ダビン Da Bin

あらすじ

ロースクールを卒業して出世の道を突き進むはずだったジョンヨプは何度も就職に失敗し、姉の勧めで臨時に児童福祉館に就職する。ある日、継母から虐待を受けている“ダビン”姉弟に出会うが、さほど深刻に考えていなかった彼は、また来るという言葉だけを残して去る。数日後、法律事務所に就職したジョンヨプは電話を受けダビンの鼓膜が破れたことを知る。ジョンヨプは継母からダビンを引き離そうとするが、かえって誘拐犯扱いをされ、その後弟ミンジュンの死に加え殺人の被疑者とされたダビンを見て衝撃を受ける。何もかも間違った方向に進んでしまったと感じたジョンヨプは、真実を明かすため、ついにダビンの弁護士になることを決心する。(公式HPより)

ヒーローではない主人公だからこそ

物語の主人公ジョンヨプは、ロースクールを卒業するも、ソウルでの大手法律事務所への就職ができず、地元でくすぶっているいる、どこにでもいそうな青年である。破天荒で優秀な弁護士でもなく、イケメンの刑事でもなく、普通の青年なのだ。その青年が、幼い二人の姉弟に出会い、そして、虐待事件へ遭遇することで、私たちの視点は、この青年と共に、凄惨な事件への引き込まれていく。この主人公にイ・ドンフィがキャスティングされているのも、上手い。『エクストリーム・ジョブ』や『ワンライン 5人の詐欺師たち』などにも出演するバイプレイヤーだが、彼だからこそ、この「普通の青年」を演じることが出来、また、私たちが共感することができたのだろう。

物語は実際に起きた事件

この物語は、2013年に慶尚北道漆谷郡にて起こった漆谷(チル ゴク)継母児童虐待死亡事件を基に描かれている。児童虐待事件は、韓国では2.4倍の伸び方で社会問題となっているが、日本も2018年に過去最多となる1,400件弱が摘発され、他人事ではない。しかし、韓国でも、この作品のように、問題提起がされているが、日本映画では、中々描かれることがなく残念である。このあたりが、国に対して、社会に対して問題提起するようなテーマを避けている日本大手製作会社があり、また、そういう作品から目を背けている日本の国民性がある。

主人公と兄弟との絆

普通の青年である主人公は、児童福祉館で出会った姉弟と、マニュアル的な対応をするのではなく、近所の子供たちへ接するように会話し、絆を結んでいく。この交流を結ぶ和やかな前半の中で、姉弟と心を通わせるシーンと印象的なアイテムが描かれているが、これが後半重要な意味を持つ展開が待っているので、前半もしっかり観ておくことをお勧めする。

作品全体として

物語の構成として、凝った脚本になっているわけではないが、日本の「実話」ものは、実話であることにこだわりすぎて、クライマックスでの盛り上がりに欠ける作品が散見されるが、この作品は、上手く後半まとめられていて、韓国映画のレベルの高さを感じさせる。クライマックスを観た後は、かなり衝撃を受けてしまうので、観るタイミングは考えた方がいいかもしれなせい。おすすめ作品。

『幼い依頼人』公式サイト

『幼い依頼人』My First Client(IMDB)

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