大阪アジアン映画祭(第15回)グランプリはタイ映画『ハッピー・オールド・イヤー』(ナワポン・タムロンラタナリット監督)が受賞。また、観客賞は、デレク・ツァン監督『少年の君』

2020年3月16日月曜日

映画祭 大阪アジアン映画祭

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第15回大阪アジアン映画祭は、3月6日から15日までの10日間開催され、最終日3月15日に、グランプリほか各賞の受賞結果が発表された。
2020年、今年の映画祭は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、映画祭をできるかぎり縮小し、あわせて、人々が集う相互の接触を減らすため、舞台挨拶、Q&Aなどがを割愛しつつも、なんとかアジアの姿を映す「上映」は最後まで実施された。一方で、本編集部も含め、アジア映画ファンの皆様は、この貴重な機会を逃さないように会場に集まり、多くの作品が完売となった。

グランプリは、タイ映画『ハッピー・オールド・イヤー』(ナワポン・タムロンラタナリット監督)。観客賞と受賞したデレク・ツァン監督の『少年の君』も評価は高かったので、賞を分けあった印象の受賞結果となった。また、コンペティション作品ではないが、キム・ボラ監督の『はちどり』も絶賛の声が多かった。

グランプリ(最優秀作品賞)

 『ハッピー・オールド・イヤー』(Happy Old Year)タイ

監督:ナワポン・タムロンラタナリット (Nawapol THAMRONGRATTANARIT)

 <授賞理由> 現代的な独特のスタイルに定評のあるナワポン・タムロンラタナリットの才能がいかんなく発揮され、オリジナリティあふれる作品 として?る者を魅了する。物を捨てるという?明社会に生きるすべての人間が抱えるカジュアルな問題にはじまり、それにとどまら ずさまざまな問題に波及していき、深みに達する映画的な視線がすばらしい。

来るべき才能賞

パク・ソンジュ監督(PARK Sun-joo)韓国/『家に帰る道』(Way Back Home)


 <授賞理由> この映画の時間と、ヒロインの過去が癒されていく時間が水の流れのように重なり、ゆっくりと浄化されていく過程が美しかった。 監督として今後の作品にも期待したい。

最優秀男優賞

間英正(MASE Hidemasa)日本/『コントラ』(Kontora)


 <授賞理由> 映画全体の狂気を体現し、緊張感を絶やさず、強烈なインパクトを与えてくれた。

ABCテレビ賞

『愛について書く』(Write about Love)フィリピン

監督:クリッサント・アキーノ(Crisanto AQUINO)

 <授賞理由> シリアスなテーマも織り込まれつつ、観れば明るく元気になれる、素晴らしいラブコメディである。現実世界は4×3、映画のシ ーンは16×9で、やがて2つの世界が混じり合いシネスコサイズへ、と演出も非常に凝っていた。

薬師真珠賞

レオン・ダイ(Leon DAI)台湾/『君の心に刻んだ名前』(Your Name Engraved Herein)


<授賞理由> 主人公青年の中年時代を、繊細さと緻密にコントロールされた情念で説得力たっぷりに演じきり、『君の心に刻んだ名前』に 核心的な深みと陰影を与えた。彼の演技人生の新しい一頁がここに記されたことは、間違いない。 

JAPAN CUTS Award 

『ある殺人、落葉のころに』日本・香港・韓国

監督:三澤拓哉(MISAWA Takuya)

 <授賞理由> 腐敗した小さな町、男特有の毒性、若者の不安をひるむことなく描き切った『ある殺人、落葉のころに』は極めてよく作り込まれた物語として、インディ・フォーラム部門の中でも際立っていた。三澤拓哉監督のストーリー構築に対する鋭い目と映画言語の卓越した手腕が存分に発揮されている。潔く大胆でありながらも完成度の高い本作は、三澤監督の今後の作品はもとより、日本インディペンデント映画のダイナミックかつ重要な表現の将来性について、大いに期待を抱かせるものである。『ある殺人、落葉のころに』にJAPAN CUTS Awardを授与できることを光栄に思う。 

芳泉短編賞 

『Hammock』日本

監督:岸建太朗(KISHI Kentaro)

<授賞理由> ほぼ全編が1軒の家の中で展開する『Hammock』は大きな悲劇と、喪失や記憶、夢、希望といった思いを、ほとんど言葉を発しない1人の少女の視線から、素晴らしいバランスで描く稀有な短編作品である。さまざまな感情が重層的に描かれ、いずれ長編映画になるべき作品であろう。

観客賞

少年の君』(Better Days) 中国・香港

監督:デレク・ツァン(Derek TSANG/曾國祥)

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