(C)AURORA FILMS/VANDERTASTIC/FRAKAS PRODUCTIONS/2022 |
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(あらすじ)韓国で生まれフランスで養子縁組されて育った25歳のフレディは、ふとしたきっかけで、母国である韓国に初めて戻ってくる。しかし、自由奔放なフレディは、韓国の言葉や文化になじめず、誰とも深い関係を築けない。そんな中、フランス語が堪能で親切な韓国人テナの手助けにより、フレディは自分の実の両親について調べ始める。【公式サイトより転載】
アイデンティティを獲得したい主人公の姿と意思
この物語の主人公フレディは、強い意思を持ち、自分自身のアイデンティティを獲得するために、旅をして、他人と関わり、韓国の文化に触れ、時には関係を破壊し、再構築する。
父親やその家族、自分の容姿から「韓国人」のレッテルを貼ろうとする韓国の友人・知人たち。彼らは、まるで「人種」が、「生まれ」が、自分のアイデンティティを構成すべき必然かのように、圧しつけてくる。だが、果たして、そうなのか。
彼女は、鋭い視線、確固たる意思を持って、それらに対抗する。
移民問題の先の未来、世界が混じりあった先には
第2次世界大戦における占領政策、世界各地で今なお繰り返される戦争や紛争、その影響を受けて移民・難民となる人々、社会が近代化する中でグローバリゼーションの広がり。
もはや、どこで生まれたのか、自分のルーツがどこの国なのか、〇〇系〇〇人などという言葉すら陳腐化する時代が到来しつつある。
そんな時、人は、何を持って、自分のアイデンティティを構成していくのか。
フレディの姿には、この答えのひとつが体現されているように感じる。
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家族の愛、養子縁組の残照
フレディは、養子縁組支援組織「ハモンド」を通して、両親と連絡を取ろうとする。自分の両親は、なぜ、養子に出したのか。彼らは、自分のことをどのように考えているのか。愛しているのか。それは、愛と呼べるのか。自分は、それを求めているのか。
「韓国人」としてのアイデンティティを圧しつけようとする一方で、酒に溺れながらも、娘を忘れたことはないと、ウザがられるほどに娘とコミュニケーションを取ろうとする父の姿。
養子に出された過去から来る心の傷が、家族からの愛で癒されるのか。
私は、それを求めているのか。
作品情報
監督・脚本:ダヴィ・シュー(Davy CHOU)
撮影:トーマス・ファヴェル
編集:ドゥニア・シチョフ
出演:パク・ジミン、オ・グァンロク、キム・ソニョン、グカ・ハン、ヨアン・ジマー、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン
2022年/フランス、ドイツ、ベルギー、カンボジア、カタール/119分
公式サイト:https://enidfilms.jp/returntoseoul
(Life with movies 編集部:藤井幹也)
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